まさかのリストラ。失った信頼関係。現実を思い知らされる。

時は流れ社長と景気が変わり、グループ会社全体の業績不振でワイン卸事業閉鎖。人も在庫も処分しなければならない。私への辞令は「在庫引き取り先への出向、待遇半分、1年後戻り先保証なし」。人質だ。単に海外人脈が欲しいだけだろう。丁重にお断りすると「では退職ですね」。円満なリストラである。大きな看板を失ったまさかのリストラ。取引先にはあまりにも急な撤退で多大な迷惑をかけた。メニューやカタログから商品を外さなければならない。

ボルドーからワインを先物買いをしていた。これを海外へ転売すると、「Yumiko、なんてことをしてくれたんだ!Yumikoだから売ってあげたんだぞ」先物買いにはマルゴーやラフィットなど有名銘柄が含まれ、これを買えるのは長年の実績と信頼がある者のみ。それを転売するなど背徳行為だ。でもやらなければ事業を閉鎖できない…16年かけて築きあげた努力と信頼関係が 音をたてて崩れていった。「もう誰からも売ってもらえないだろう。」ボルドーはせまい、すぐに噂になる…

 

手のひらを返し、疎遠になった人、変わらず交流してくれる人、看板のない私への態度に露骨な違い。「今までが恵まれていたのだ」 現実を思い知る。同時に私自身がやっと、人を看板や条件抜きで、本質で見られるようになったのかもしれない。

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